Diatom biochronology of the horizon of warm water calcareous microfossils in the upper Miocene Funakawa Formation distributed in Shimo-arakawa, Daisen City, Akita Prefecture, Japan.

中新世中期～中新世後期の日本海の古海洋環境は，従来，寒流水塊が卓越していたと考えられてきたが，石灰質微化石の証拠から，この時期に何度か間欠的に暖流が日本海に流入した短い温暖期の存在が知られるようになった．それを示す証拠の1つが秋田県大仙市下荒川の船川層から報告された暖流系の浮遊性有孔虫及び石灰質ナノ化石であるが，その年代は不確定のままであった．本研究では珪藻年代分析に基づき，この暖流系微化石の 産出層準が珪藻化石帯のNPD6A帯の上限付近（8.7 Ma）にあることを確認した．暖流系珪藻の産出状況も加味すると，この温暖期は，NPD6A帯最上部からNPD6B帯最下部に相当する．この温暖系微化石群集は，日本海側地域で見つかっている暖流系微化石を伴う3つの石灰質有孔虫群集のうち，最上位のO-1群集にほぼ対比される．浮遊性有孔虫，石灰質ナノ化石及び浮遊性珪藻の群集は，寒流種が主体で暖流系種がわずかに付随する．このことは，寒冷な表層水が支配的であった当時の日本海に，太平洋側から微弱な暖流が流入したことを示唆する．